遺言で出来ること6「特別受益持戻しの免除」

遺言で出来ることの一つに、特別受益(とくべつじゅえき)の持戻しの免除というのがあります。しかし、特別受益と言われても、法律を勉強したことのある方ならともかく、普通は知らない方が多いと思われます。そこで、まずは、特別受益とは何であるかを簡単に説明いたします。

 

相続人の中には、被相続人(ひそうぞくにん。亡くなった方のこと。)から、生前に財産の贈与を受けたり、遺言で遺贈を受けた方がいる場合があります。

 

このような場合、その相続人は、ある意味、遺産の前渡しを受けたとも言えるので、残された遺産を他の相続人と分割するうえでは、生前贈与や遺贈で受けた財産の額の分、他の相続人より取り分を少なくしたほうが公平とも言えます。

 

そこで、法律では、相続人に対する一定の内容の生前贈与や遺贈がある場合には、それらの生前贈与や遺贈を受けた相続人については、残りの遺産に対する遺産分割による取得額を、法律で定められた一定の計算方法に基づいて減額するものとしています(生前贈与や遺贈の額が大きい場合には、取得額が0円になるときもあります。)。

 

このような相続人に対する一定の内容の生前贈与や遺贈のことを「特別受益」と言い、上記のように、特別受益を考慮して遺産分割による取得額を調整することを「特別受益の持戻し」と言います。特別受益である生前贈与や遺贈された財産は、もはや遺産分割の対象とはなりませんが、遺産分割の取得額の調整のために、一度、これらを加味して計算することから、「持戻し」という言葉が使われているのですね。

 

しかし、自分が亡くなった後、自分の財産が遺産分割される際に、このような特別受益の持戻しがされることを希望しない方も多くいるでしょう。つまり、自分の相続人となる者に、生前贈与や、遺言で遺贈をしている場合に、これらはこれらとして終わったものとしたい、残された遺産に対する遺産分割の際には、これらを考慮しないで分けてほしい、と考える方も多いと思います。

 

そこで、遺言では、この特別受益の持戻しを行わないようにさせること、つまり、免除をすることができます。

 

相続人となる予定の方に、生前贈与をしていたり、遺言で遺贈をする場合には、遺言で特別受益の持戻しの免除をすべきか検討をしたほうがよいでしょう。また、「相続させる旨の遺言」も特別受益となると一般的に考えられていますので(反対説もあります。)、これを遺言に記載している場合も、特別受益の持戻しの免除を検討すべきであると考えます。

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