自筆証書遺言を法務局で保管してもらえるようになります!

2018年9月30日作成記事 

 

これまでは、自筆で書いた遺言書(自筆証書遺言と言います。)の場合、公的な機関に保管してもらうような制度が無かったため、自分で保管しておくか、信頼のできる他人に保管してもらうなどの方法しかありませんでした。しかし、これでは、紛失したり、火災などで焼失してしまったり、場合によっては悪意のある者に廃棄されたり、偽造されてしまうなどのリスクがありました。

 

また、自筆で書いた遺言書は、誰にもその存在を伝えていないと、遺言を書いた方が亡くなったときに見つからず、日の目を見ないままになってしまったり、遺言がないものとして相続の手続が終わった後に見つかって、相続人などの間でトラブルや争いになってしまうというリスクもありました。

 

そのような中、平成30年7月6日に、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(略して、「遺言書保管法」と言います。)が成立し、同月の13日には公布されました。この法律により、これまでの自筆証書遺言の保管についての上記のようなリスクが大幅に軽減されます。

 

ただし、この法律の施行は、公布後2年以内となっており、この記事を書いている現時点では、まだ施行されていないどころか、施行日もまだ発表されていません。実際に法務局への保管等を行うことができるようになるのは、法律の施行日後となりますので、もう少し待つ必要があります。

 

この法律のポイントの1つは、法律の名前のとおり、自筆証書遺言を法務局に保管してもらうことができるようになります。法務局に自筆証書遺言を持っていき、保管の申請をすれば、法務局では遺言書の原本とそれをデータ化したものを保管しておいてもらえます。これにより、自筆証書遺言を紛失したり、偽造されたりするというリスクが、法務局自体が天災等で消滅してしまうなどの特別のことがない限り、無くなります。

 

次に、遺言を書いた方が亡くなった場合、その相続人等は、法務局に、保管されている自筆証書遺言があるかどうかを照会したり、ある場合には、遺言書の内容の証明書や閲覧を請求できるようなります。これにより、相続人等が自筆証書遺言を見つけられる可能性が大幅に高くなります。法務局に保管してもらっていない自筆証書遺言は、やはり今までどおり見つからない可能性もありますが、少なくとも今までよりは格段に見つかる可能性が上がるでしょう。法律の施行後は、多くの方が、この法務局の保管制度を利用するようになると思われるからです。

 

さらに、大きなポイントとして、法務局に保管されていた自筆証書遺言については、家庭裁判所による遺言書の検認手続が不要となります。自筆証書遺言については、その発見後の偽造等を防止するために、遺言者の死亡後、家庭裁判所に遺言検認の申立をしなくてはいけないのですが、法務局に保管されていたものについては不要となります。法務局に、遺言書がその内容とともに保管されるため、偽造等を防ぐという目的はすでに達成できているからです。検認手続をしないで済むというのは、相続人等にとっては、コストや手間、時間を大幅に軽減できるため、大きなメリットとなります。

 

法律の施行はまだなので、この保管制度を利用できるようになるまで、もう少し(と言っても2年以内)待つ必要がありますが、この制度は自筆証書遺言について画期的な制度の創設と言え、今後、自筆証書遺言を選択する方が大幅に増加していくのではないかと個人的には思っています。

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